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家賃交渉されたら値下げに応じるべきか?確認すること、おすすめの対処法を解説
不動産投資を行っていると、入居者や入居希望者から家賃交渉されることがあります。相手にとっても切実な要望ですが、そもそも交渉には応じるべきなのでしょうか?そこで本記事では家賃交渉をされた際に確認すべきことや、オーナーとしての上手な立ち振る舞い方について、わかりやすく解説します。
家賃交渉されたら応じるべきか?
結論からお伝えすると、家賃交渉を求められた場合はすぐに却下せず、話し合いには必ず応じましょう。この際のポイントとなるのは、どれだけ切実に交渉されたとしても、安易に値下げを決断しないことです。本項目では、家賃交渉への対応についてわかりやすく解説します。
家賃交渉の話し合いには必ず応じる
入居者や入居希望者から家賃交渉を求められたら、値下げするかどうかは別として、話し合いには必ず応じましょう。不動産投資は入居者がいなければ成り立ちません。そのため高圧的な態度で交渉を拒否してしまうと、オーナーと入居者の関係性が悪化しやすくなり、空室リスクを高めてしまうのです。
しかし、まったく準備していない状態で話し合いに臨むことは避けましょう。現在の家賃設定に正当性があることを示せば、入居者や入居希望者に値下げを諦めてもらいやすくなります。後述する【家賃交渉をされたらまず確認したいこと】をチェックして、これらの準備が整ってから入居者や入居希望者と話し合いましょう。
安易に値下げはしない
交渉の席には着くべきですが、安易に値下げをしないように注意しましょう。家賃を値下げしたからと言って、ローンの返済費用などの支出が下がるわけではありません。仮に家賃を5,000円の値下げした場合、1年で60,000円、10年で60万円もの収入を失うことになるのです。
値下げしてしまうと不動産投資を始める前に行ったシミュレーションが成り立たなくなり、途中でローンの返済が不可能になるなどの問題が起こる可能性があります。最悪の場合は物件が差し押さえられ、強制的に不動産投資を終了させられてしまいますから、値下げに応じるかどうかは慎重に判断するべきです。
家賃交渉をされたらまず確認したいこと
家賃交渉を求められた場合は、まず以下の3点を確認しましょう。
<家賃交渉をされたらまず確認したいこと>
- ・周辺にある類似物件の家賃相場を確認する
- ・契約内容を確認する
- ・管理会社に値下げ可能か確認する
それぞれの内容について詳しく解説します。
周辺にある類似物件の家賃相場を確認する
まずは周辺にある類似物件の家賃相場を確認しましょう。類似物件とは、以下のような条件が一致している、もしくは良く似ている物件を指します。
<類似物件の特徴>
- ・駅からの徒歩分数が似ている
- ・平米数が似ている
- ・築年数が似ている
- ・間取りが同じ、もしくは似ている
- ・階数が似ている
- ・角部屋など特別な条件が一致している
類似物件の家賃と自身が所有している物件の家賃を比較して、どれくらいの差額があるか確認します。このとき類似物件の方が高い家賃だったり、同程度の家賃に設定していたりする場合は、現在の家賃設定に正当性があることを証明しやすくなるでしょう。
契約内容を確認する
賃貸借契約書の内容を確認して、家賃の変更が可能かどうかを調べましょう。基本的には契約書で家賃の変更について触れることはありませんが、まれに「契約中に家賃の減額請求はできない」といった特約を付帯させている場合があります。この場合は、契約を理由に値下げを回避できるでしょう。
管理会社に値下げ可能か確認する
賃貸管理を管理会社に委託している場合は、家賃の決定権はオーナーではなく管理会社側にあるケースが多いため注意しましょう。このときオーナーが独断で家賃の値下げを決めることはできませんので、管理会社に値下げして良いかどうかを確認することになります。
不動産管理会社の多くが、家賃収入に対して〇%といった契約内容で報酬を得ていますから、家賃の値下げは管理会社にとっても打撃になるのです。そのため、管理会社側が値下げを嫌がる可能性もあるので、管理会社とも慎重に話し合いを行いましょう。
家賃交渉をされた場合におすすめの対処法
家賃交渉をされた場合におすすめの対処法は、以下の2つです。
<家賃交渉をされた場合におすすめの対処法>
- ・【新規入居者】フリーレントを検討する
- ・【既存入居者】更新時の再交渉を提案する
すでに入居者がいるのか、これから入居者を決めるのかによって有効な対処法が異なります。それぞれのケースに応じた対処法を行い、家賃の値下げを即座に決めることは避けましょう。
【新規入居者】フリーレントを検討する
新規入居者と家賃交渉を行う場合は、家賃を引き下げる代わりにフリーレントの提案をしてみましょう。
【フリーレントのメリット・デメリット】
メリット |
・半永久的な収入減を避けられる ・あらかじめ契約条件に付帯させることで注目度を高められる |
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デメリット |
・フリーレントが終了するまで家賃収入を確保できない ・入居から数ヶ月で退去された場合は損をする |
フリーレントとは、一定期間の家賃を無料にするサービスです。たとえば2ヶ月のフリーレントをつける場合、入居から2ヶ月間は家賃収入を得られませんが、3ヶ月目以降は通常の家賃を受け取れます。そのため、半永久的な収入減を避けられるようになります。
デメリットは、フリーレントが終了するまで家賃収入を得られない点です。そのため経営に行き詰まらないように、ある程度キャッシュに余裕を持たせてからフリーレントを提案しなければなりません。また、フリーレント終了後に退去された場合は損してしまうため、早期解約違約金を設定してリスクマネジメントを行いましょう。
【既存入居者】更新時の再交渉を提案する
すでに入居している人物と家賃交渉を行う場合は、将来的な再交渉を提案しましょう。
【将来的な再交渉のメリット・デメリット】
メリット |
・即座に値下げをしなくて済むため、収入減に備えやすくなる ・入居者の退去を思いとどまらせられる可能性がある |
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デメリット |
・将来的な値下げを約束しなければ納得してもらいにくい ・契約更新する意思を持つ入居者が相手でなければ交渉が成立しない |
契約更新のタイミングまで値下げの保留を求める交渉です。即座に値下げに応じる必要がなく、将来的な収入減に備えやすくなる点がオーナーにとってのメリットです。また再交渉を約束することによって、入居者の即時退去を思いとどまらせられる可能性があります。
デメリットは、将来的な値下げを約束しなければ納得してもらいにくい点です。また、そもそも契約更新を行う意思を持つ入居者でなければ交渉が成立しません。契約更新時期までまだ長い期間を残している場合も、入居者にとっては魅力が少ない提案なので、残念ながら効果的とは言えないでしょう。
家賃交渉に応じるなら、いくらまで下げるべきか?
家賃交渉の結果、家賃の値下げに応じる場合は、目安としてどれくらいの金額まで下げるべきなのでしょうか。基本的な考え方としては、以下の2点を重視することをおすすめします。
<家賃交渉で減額に応じる場合の値下げ幅>
- ・まずは月あたり数千円の値下げを提案する
- ・家賃相場を大きく下回る値段にはしない
これらの点について、入居者・入居希望者に納得してもらいやすい交渉術と合わせて確認しておきましょう。
まずは月あたり数千円の値下げを提案する
値下げ交渉に応じる場合は、まず1ヶ月あたり数千円の値下げを提案しましょう。たとえば現在の家賃が60,000円ならば、57,000~58,000円といった範囲内で値下げを提案します。入居者はダメ元で家賃の減額交渉を行う場合も多いため、少しの値下げでも応じてもらえる可能性があるのです。
最初に提案する金額が58,000円ならば、入居者から55,000円への減額を希望されたとしても、妥協案として57,000円への減額交渉に導きやすくなります。最初から大幅な値下げを提案してしまうと、2度目・3度目の交渉で足元を見られやすくなり、オーナーが不利な立場に追い込まれやすいので要注意です。
家賃相場を大きく下回る値段にはしない
家賃相場を大きく下回る値段は不適正です。あらかじめ類似物件のリサーチを行っておき、周辺の家賃相場を調べておきましょう。たとえば現在の家賃が60,000円で、類似物件の家賃相場が58,000円なら、58,000円までの値下げで交渉することをおすすめします。
家賃相場はオーナーにとっても、入居者にとっても客観的でわかりやすい数字です。相場を下回る家賃設定にしてしまうと、自身が持つ物件の価値を不当に下げてしまいます。
類似物件との乖離が少ない家賃に設定すれば、オーナーは妥当性のある収入を得ながら無理なく経営を行えるでしょう。
まとめ
入居者や入居希望者から家賃交渉を持ちかけられたら、話し合いには必ず応じましょう。ただし、安易に値下げをするべきではありません。周囲の類似物件と家賃相場を比較して、値下げに応じる必要性があるのかを客観的に判断する必要があります。代替案として、フリーレントや更新時の再交渉を提案することも検討しましょう。
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