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不動産投資コラム

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不動産投資で節税ができるのはなぜ?仕組みや効果的に節税する方法を解説

「不動産投資は節税効果がある」という話を耳にしたことがある方も多いと思います。実際にマンション経営など不動産投資を行うことで節税は可能ですので、この話は事実です。ただし、状況によっては効果的ではないケースもありますので注意が必要です。

 

本記事では、不動産投資で節税ができる仕組みや節税できる税金の種類などを解説します。

 

不動産投資で節税ができるのはなぜ?

まずは「節税の基本的な考え方」「不動産投資で節税効果が生まれる理由」「節税できる可能性がある税金の種類」について解説します。

 

そもそも「節税」とは

節税とは、所得控除や非課税枠制度などを有効に活用して、支払う必要がある税金の額を減らすことです。所得控除や非課税枠制度などは法律上で認められているものですので、合法的に節税効果を得ることができます。

 

不動産投資で節税効果が生まれる理由

不動産投資で得られる「家賃収入」は、税法上「不動産所得」とみなされます。サラリーマンの方などが副業として不動産投資を行っている場合、給与所得や不動産所得などを合計した総収入に対して税金が課税されることになります。その際に「不動産所得」があることでさまざまな控除枠の利用が可能になり、課税される税金の額を下げることができるのです。

 

また、資産を現金ではなく不動産として保有している場合に節税対策となるケースもあります。

 

不動産投資で節税できる税金

家賃収入による不動産所得があることによって、節税できる可能性がある主な税金は「所得税」「住民税」「復興特別所得税」の3つです。これらは総課税所得金額により税額が決まるものばかりです。復興特別所得税は東日本大震災の復興のために創設されたもので、令和19年分までの期限付きの税金となります。

 

なお、資産を現金ではなく不動産として保有している場合に節税できる税金としては「相続税」「贈与税」「法人税」の3つが挙げられます。

 

不動産投資で節税をする仕組み

節税をする仕組み

次に、不動産投資で税金負担を抑えられる仕組みについて説明していきましょう。「不動産所得があることにより利用できる節税方法」に焦点を当てた場合、以下の4つの方法があります。

 

経費計上で節税する

不動産投資により得た家賃収入は、そこから必要経費を差し引き「不動産所得」になります。

 

【不動産所得の算出方法】

・年間家賃収入―年間でかかった必要経費=不動産所得

 

【賃貸経営で必要経費と認められるもの】

初年度

登録免許税、印紙税、司法書士への報酬、ローン手数料、ローン保証料、火災保険料(地震保険を含む)等

初年度+2年目以降

不動産取得税、青色事業専従者給与、固定資産税、都市計画税、個人事業税、管理委託手数料、広告費、ローン金利(建物部分のみ)、修繕リフォーム費用、修繕積立金、火災保険料、税理士への報酬、交通費、書籍代、セミナー参加費、減価償却費等

 

賃貸経営で必要経費と認められるものには多くの項目があるため、総所得額を減らしやすいです。これは不動産所得だからこそ利用できる仕組みと言えるでしょう。

 

減価償却で節税する

「減価償却費」も必要経費のひとつであり、場合によっては高い節税効果を期待できる項目です。不動産のうち土地は経年で資産価値が減りませんが、建物は毎年劣化していくことから「減価償却資産」と呼ばれています。建物は賃貸経営上必要な資産であり、その価値は会計上でも減っていくものとみなされますので、「減価償却費」として必要経費に入れることが可能です。

 

計上方法は、取得時に全額ではなく、使用可能全期間(法定耐用年数)にわたり分割計上となります。つまり、実際は物件を購入した初年度のみ出費が発生するにも関わらず、翌年以降の出費がともなわない年でも必要経費として減価償却費を計上できるのです。

 

家族への給与支払いで節税する

不動産所得では、「家族への給与支払い」も必要経費のひとつとして認められています。賃貸経営で物件の管理などを家族に手伝ってもらっているケースもあります。その家族が15歳以上であり、アルバイト代や給与を支払っている場合には、その金額を必要経費として計上できます。

 

これは確定申告時に「専従者給与(白色申告では専従者控除)」と呼ばれる枠に計上できる項目となります。

 

損益通算で節税する

サラリーマンなど本業の給与所得がある方は、不動産所得で赤字となった場合に双方の所得を相殺できます。これが「損益通算」と呼ばれる方法です。

 

物件の購入が必要となる不動産投資の初年度は、会計上で赤字となる場合が多いので、損益通算で節税効果を得られやすいと言えます。

 

不動産投資での節税シミュレーション

節税シミュレーション

不動産投資での節税例をご紹介しましょう。年収1,000万円のサラリーマンが不動産投資ローンを利用して収益物件を購入した場合、節税シミュレーションにおける計算は以下のようになります。

 

■条件

 

  • ・築20年の中古マンション、物件価格2,000万円(RC造、耐用年数27年)
  • ・物件購入時にかかった費用は物件価格の約10%と仮定
  • ・年間にかかる諸経費は家賃収入の約15%と仮定
  • ・配偶者が従業員として賃貸業を手伝い、給与を支払っている

 

 

【不動産投資における確定申告時の節税シミュレーション(例)】

 

初年度

物件購入時にかかった費用(ローン諸経費、登記費用等)

▲200万円

その他の年間諸経費

(管理委託手数料、固定資産税、火災保険料、建物部分のローン金利等)

▲14万円

年間家賃収入(賃貸経営は7月開始、月額15万円×6ヶ月、)

90万円

専従者給与控除額の合計(月額8万円×6ヶ月)

▲48万円

実際の年間収入額

▲172万円

減価償却費(2,000万円÷27年×6/12ヶ月)

▲37万円

会計上の不動産所得の収支

▲209万円

給与所得(1,000万円)と損益通算後の課税所得額合計

791万円

 

節税シミュレーションしてみると、会計上では、特に初年度は年間の収入額よりも大きな赤字となりやすいことがわかります。この不動産所得の赤字209万円は給与所得1,000万円と損益通算できますので、課税対象となる総所得額は791万円にまで圧縮されます。所得税率は33%から23%へ下がり、所得控除額も大きくなりますので、納めるべき税金も下がります。

 

不動産投資で効果的に節税するためのポイント

節税するためのポイント

しかし、不動産投資で節税できるのはケースバイケースです。不動産投資で節税できる仕組みを前提とし、次の4つのポイントを押さえることで効果的に節税できます。

 

課税所得が900万円以上あることが望ましい

所得税率は超累進税率ですので、課税対象所得金額が大きくなるほど税率も高くなります。特に税率が10%もアップするのは、課税所得が900万円以上の方からです。そのため、不動産投資を行うことで高い節税効果を得られるのは「課税所得が900万円以上の方」だと言えます。

 

【課税所得金額別の所得税率】

課税所得金額別の所得税率

出典:国税庁

 

この所得税率は、出口戦略として物件を売却した際に得る売却益(譲渡所得)にも適用されますので、覚えておきましょう。

 

青色申告をする

給与所得以外に年間20万円以上の収入がある方は、翌年2~3月に確定申告をする必要があります。確定申告には白色申告と青色申告がありますが、さまざまな控除を受けられる青色申告がおすすめです。

 

必要経費で解説した「専従者給与(控除)」についても、白色申告では控除額の上限が決まっていますが(配偶者は86万円、それ以外の方は50万円/人)、青色申告では給与金額をそのまま必要経費として計上できます。

 

そのため確定申告時には、さまざまなメリットの多い青色申告を選択することをおすすめします。

 

築古の木造物件はより効果が出やすい

建物の減価償却費は法定耐用年数に従い、残った使用可能期間にわたって分割して毎年計上することになります。そのため減価償却費においては、耐用年数の残りが長い物件を選んだ場合には、毎年計上できる金額が小さくなってしまいます。たとえばRC造の新築マンションの法定耐用年数は47年、木造アパートでも22年です。

 

その点では、築古の木造物件であれば耐用年数が短いため、減価償却費を短期間で大きく計上することができるでしょう。ただし、築年数が耐用年数を超過している物件では、減価償却期間が短くなりますので注意しましょう。

 

節税だけを目的に不動産投資をしない

物件を購入したばかりで家賃収入がまだ少ない初年度は赤字となりやすく、2年目も不動産取得税を支払うため、大きな節税効果が期待できます。

 

しかし3年目以降は減価償却費が主な節税要素となることから、さほど節税効果は望めないと考えた方が良いでしょう。そのため、節税目的で不動産投資を続けるのは失敗のリスクが高くなります。それよりも、赤字経営を避けて事業を拡大していく方向へ進むことが大切です。

 

まとめ

不動産投資での節税効果は、家賃収入からさまざまな必要経費を差し引くことができたり、赤字の場合に給与所得と損益通算できたりすることで発揮されます。ただし、新築物件の場合には減価償却費を計上しても節税効果が小さくなる傾向にあるなど、場合によっては大きな節税を得られないこともあります。

 

どの程度の節税効果が得られるのか、物件を購入する前にご紹介した節税シミュレーションで収支を計算してみましょう。

 

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