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不動産投資では確定申告が必要!提出書類や流れ、計上できる経費を解説します
不動産投資では確定申告が必要!提出書類や流れ、計上できる経費を解説します
サラリーマンなど本業と並行して不動産投資を行っている場合、年末調整をしているので確定申告は必要かどうかわからず困っている方も多いのではないでしょうか?しかし、確定申告をしておかないと損をしてしまうどころか、無申告加算税が課されてしまうこともあり得ます。
そこで本記事では、不動産投資で家賃収入があった場合の確定申告について、メリットや手順などを解説していきます。
不動産投資で確定申告が必要になるケース
給与所得に加えて退職所得以外の所得が年間20万円超となる場合には、翌年の2~3月に確定申告をする必要があります。不動産投資での家賃収入は、税法上「不動産所得」という扱いになります。不動産所得は、年間の家賃収入から必要経費等を控除した金額を指します。なお必要経費については、後ほど詳しく説明します。
不動産所得が年間20万円以下の場合では確定申告をする義務はありませんが、給与所得との損益計算により節税効果を得られる場合もありますので、その時は確定申告をしておくと良いでしょう。
不動産投資での確定申告のやり方
確定申告を行う手順について詳しく解説していきます。
①青色申告をする
確定申告には大きく分けて「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。不動産所得や事業所得がある方は、よりメリットの多い「青色申告」を行うことをおすすめします。ただし青色申告を行う場合は、納税地の所轄税務署へ「青色申告承認申請書」を提出しておく必要があります。
区分 |
青色申告承認申請書の提出期限 |
---|---|
原則 |
青色申告の承認を受けたい所得年の3月15日まで |
その年の1月16日以後に賃貸業を開始した場合 |
賃貸業の開始日より2ヶ月以内 |
その年の1月16日以後に相続により |
収益不動産を相続した場合には、被相続人の確定申告方式によって青色申告承認申請書の提出期限が異なりますので、ご注意ください。詳細は国税庁のホームページをご覧ください。
②必要書類を準備する
不動産所得を青色申告で行う場合には、複式簿記で取引帳簿を作成する必要があります。有料の会計ソフトを利用する方も多いですが、無料の会計ソフトやエクセルを利用する手もありますので、自分がやりやすい方法を選んで作成しましょう。溜め込まずに1取引ごとに帳簿付けしていけば、複式簿記はそれほど大変ではありません。
その他に必要な書類では、以下のようなものがあります。
- ・不動産に関する書類(不動産売買契約書、賃貸借契約書、家賃送金明細書、売渡精算等)
- ・税金関係の書類(不動産取得税や固定資産税の納付書)
- ・物件管理維持費に関する書類(管理費・修繕積立金・火災保険の領収書、譲渡対価証明書)
- ・ローン関係の書類(借入金返済表、建物のローン金利は経費になるため)
- ・控除関係の書類(医療費の領収書、生命保険や損害保険の控除証明書、ふるさと納税証明書等)
- ・給与所得の源泉徴収票(不動産所得と損益通算するため)
③決算書を作成する
不動産投資における青色申告に使われる決算書は、「所得税青色申告決算書(不動産所得用)」であり、損益計算書とその明細・減価償却費の計算書・貸借対照表の4枚で構成されています。決算書は国税庁のホームページで作成できますが、手書きにしたい場合には国税庁のホームページから印刷して手書きでもOKです。会計ソフトやエクセルを利用して複式簿記による帳簿を付けている場合には、自動計算できますので便利です。
④確定申告書を作成する
確定申告書は、令和4年分より申告書Bのみに統一されます(申告書Aは廃止されます)。新しい申告書は令和5年1月以降に使用可能です。第一表から第四表までありますが、第一表と第二表の作成までで完了する場合も多いです。保険料の支払証明書等は、添付書類台紙などに貼ります。
【確定申告書Bの記入方法】
項目 |
内容 |
---|---|
第一表 |
収入金額・所得金額・税金等の集計金額 |
第二表 |
所得の内訳、譲渡所得・一時所得の内訳、 |
第三表 |
第一表の写し。 |
第四表(一)(二) |
損失申告用。 |
⑤申請手続きをする
必要事項を記入済の決算書と確定申告書を準備し、確定申告書には必要書類を添付したら、申請手続きをしましょう。所轄の税務署の窓口や特設会場にて提出できる他、税務署への郵送やe-TAXでの電子申告も可能です。郵送する場合には、切手を添付した返信用封筒を同封し、受領印が押された書類を返送してもらうことをおすすめします。
不動産投資家は青色申告で節税しよう
青色申告には以下のようなメリットがあります。
- ・最高で65万円の青色申告特別控除が受けられる(白色申告での控除額は最高10万円)
- ・給与所得との損益通算が可能
- ・損益通算で控除しきれない赤字は翌年以後3年間繰り越し控除可能
不動産所得を青色申告で行う場合には、複式簿記で取引帳簿を作成して保存する必要があります。しかし、実は白色申告についても平成26年1月より記帳と簡易帳簿書類の保存が義務化されています。そのためどちらも手間がかかりますので、可能ならばメリットの多い青色申告がおすすめです。
減価償却費の計算について
所得税青色申告決算書(不動産所得用)の3ページ目にある「減価償却費の計算」について解説します。不動産投資での青色申告では欠かせない重要な項目です。
業務上必要なパソコンや設備、また投資用不動産のうち建物に関しては「経営上必要な資産」として認められていますので、必要経費に含めることができます。これらは経年で価値が減っていくため「減価償却資産」と呼ばれ、取得時に全額を必要経費として計上するのではなく、使用可能期間(法的耐用年数)の全期間にわたって分割し計上していく形になります。
中古物件を購入した場合は、法定耐用年数ではなく、使用可能年数を見積もり耐用年数とします。ちなみに土地は経年で資産価値が低下することがありませんので、減価償却費として計上することはできません。投資用に区分マンションを購入した場合には、取得価額(物件価格+購入時の手数料等)を土地と建物に区分し、建物分だけを計上しましょう。
不動産投資で認められる経費について
賃貸経営による家賃収入を確定申告する際に、必要経費として認められる経費には、主に以下のようなものが挙げられます。
減価償却費 |
収益物件や設備の償却費 |
---|---|
租税公課 |
土地と建物についての固定資産税、事業税、不動産取得税、登録免許税、印紙税 |
損害保険料 |
建物にかけている火災保険料 |
修繕費 |
建物等を修繕した際の費用 |
管理費 |
物件の管理を委託している会社へ支払う委託手数料 |
給料賃金 |
物件の管理を委託している方に支払う賃金 |
借入金利息 |
土地や建物にかかるローン金利部分 |
雑費 |
税理士への報酬など |
必要経費が多くなれば所得税額が減りますので、漏れがないよう計上してください。
不動産投資の確定申告に関するよくある質問
不動産投資で家賃収入を得た年の確定申告について、よく聞かれる質問と回答をご紹介します。
確定申告は自分でやる必要がある?
青色申告での確定申告をする場合は、準備に手間がかかりますので、税理士に代行依頼をする方も多いです。ただし、税理士に支払う報酬が必要です。たとえば所有している収益物件が区分マンション1室の場合、税理士への報酬の目安は5~10万円です。
確定申告は毎年のことなので、勉強しながら知識を身に付けていけば手間はかかっても次第に慣れてきます。費用を節約したい方は、自分で確定申告に挑戦してみましょう。
初年度から確定申告は必要?
不動産投資の初年度であっても、不動産所得が年間20万円超となる場合には確定申告が必要です。不動産所得では、初年度のみ必要経費として計上できるものに、不動産所得税・登録免許税・印紙税などがあります。節税効果を得るために、初年度から必ず確定申告しておきましょう。
確定申告をするタイミングは?いつまでにやる?
所得税法では、1月1日~12月31日までの所得について、翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告することと所得税を納付することが定められています。万が一申告を忘れていた場合でも、期限後申告もできます。
確定申告をしないとどうなる?
法定申告期限より1ヶ月を超えた期限後申告となった場合などでは、納税する所得税の他に以下のような無申告加算税が課されます。そのため申告を忘れていたことに気がついたら、できるだけすぐに行うようにしましょう。
【確定申告をしなかった時などのペナルティ】
延滞税 |
納めるべき所得税の納税が期限を過ぎた場合、原則として年7.3%~が加算される |
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無申告加算税 |
税務調査により無申告を指摘された場合、納付すべき税額に対し50万円まで15%、50万円超部分は20%分が加算される |
過少申告加算税 |
税務調査により納める税金が少なすぎると指摘された場合、新たに納付すべき税額に対し10%~が加算される |
重加算税 |
短期間に無申告や仮装・隠蔽が行われた場合、納付すべき税額に対し35~50%が加算される |
まとめ
不動産投資による年間収入が20万円を超えた場合には、確定申告をしなければなりません。必要経費をしっかり計上することで、給与の年末調整で払いすぎている所得税の一部を還付金として取り戻せる可能性もあります。よりメリットの多い青色申告を選び、節税効果を高めましょう。