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インカムゲイン・キャピタルゲインとは?特徴の違い、両方狙うべきか解説します
資産運用を考えている方は、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」について知っておくことをおすすめします。これらはどちらも収益の種類を指す用語ですが、特徴が大きく異なるだけでなく、投資方法によってどちらの収益を得られるのかが決まってしまいます。
そこで本記事ではインカムゲインとキャピタルゲインの違い、それぞれのメリット・デメリットなどについて、投資の種類別に解説していきます。
インカムゲインとキャピタルゲインの違いとは?
インカムゲインとキャピタルゲインの「ゲイン(Gain)」とは、英語で「利益」を意味します。それぞれの特徴は、以下の点で異なります。
インカムゲイン・・・資産の保有中に継続的に得られる利益
「インカム(Income)」とは「入ってくる」という意味ですので、インカムゲインは「資産を保有している間に入ってくる利益」を指します。たとえば、不動産投資でいえば家賃収入、株式投資では配当金がインカムゲインに該当します。
インカムゲインは不動産投資などにおいて、長期的に継続して得られる利益を指す場合が多いです。
キャピタルゲイン・・・資産を売却した際に得られる利益
「キャピタル(Capital)」とは「資本」という意味であり、キャピタルゲインは「資産を売却した際に得る利益」を指します。
不動産や株式など価格変動があるものに投資していて、自分が購入した時よりも高値で売却できた場合に得られるのがキャピタルゲイン(売却益)です。なお、購入時の価格よりも安値で売却となった場合に発生する損失は「キャピタルロス」と呼ばれます。
キャピタルゲインは株式などにおいて、短期で得られる利益を指す場合が多いです。
投資の種類別にインカムゲイン・キャピタルゲインを解説!
インカムゲインとキャピタルゲインは、投資の種類によってある場合とない場合があります。投資の種類別に、具体的に解説しますのでご覧ください。
不動産投資
不動産投資とは、主に土地や建物などの不動産を購入し、賃貸に出すことで賃貸料を得る投資方法です。不動産投資での家賃収入はインカムゲインに相当しますが、収益物件などを売った際に売却益が出た場合にはキャピタルゲインも得ることができます。
基本的な収入はインカムゲインであすが、資金が必要となった際には出口戦略としてキャピタルゲインの獲得も視野に入れておく必要があるでしょう。
株式投資
株式投資では、株を保有していることで得られる配当金がインカムゲインですが、株価が値上がりした時のキャピタルゲイン(売却益)の方が大きいケースもあります。なお株価は社会情勢に対して大きく影響を受けますので、キャピタルゲインだけでなくキャピタルロスも大きくなる可能性が高いので注意しましょう。
投資信託
投資信託とは、複数の投資家から集めた資金を専門家が株式などに分散投資を行い、運用して得た収益を投資家に分配する金融商品です。インカムゲイン(分配金)がメインですが、途中で銘柄が値上がりした際などに売買する場合にはキャピタルゲインを獲得できる場合もあります。
預金
金融機関に資金を預けて利息を受け取ることから、預金も金融商品と言えます。インカムゲインとして利息は得られますが、キャピタルゲインは発生しません。
債券
債券は「有価証券」の1つです。債券投資とは、国や地方、民間会社、金融機関などが発行する債券を購入することで「資金を貸す」形となる投資方法です。
債券を償還期限まで保有していれば、額面の金額が保証されます。債券投資では、利息によるインカムゲインのほか、途中で売却した場合にはキャピタルゲインも得られる可能性があります。ただし、時価による売買のため価格が変動しますので、元本割れのリスクに注意しましょう。
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングとは、資金を借りたい企業・団体と、資金を貸して運用したい人をマッチングさせるサービスです。「投資型クラウドファンディング」とも呼ばれ、1万円など少額から投資することができます。
ソーシャルレンディングはインカムゲイン(分配金)のみを得られる投資方法です。ただし途中解約はできず、元本保証もない点には気をつけましょう。
暗号資産(仮想通貨)
ビットコインやコインチェックなどの暗号資産は、価格が安い時に購入し、値上がりした際の売却益が利益となる投資方法です。キャピタルゲインとしての売却益がメインとなりますが、中には保有することでインカムゲインを得られる暗号資産も存在します。
暗号資産は激しい値動きをすることもありますので、短期間で大きなキャピタルゲインを得ることができる場合もあります。
FX取引
FX取引とは、外国為替証拠金取引を意味します。具体的には為替レートの上下を予想し、通貨を売買して為替差益を得るという投資方法です。
FX取引では為替差益がキャピタルゲインに、高金利の通貨を購入し低金利の通貨を売却した際に付与されるスワップポイントがインカムゲインに相当します。
インカムゲインのメリット・デメリット
インカムゲインには以下のようなメリットやデメリットがあります。
メリット①経済の短期的変動の影響を受けにくい
たとえば不動産投資におけるインカムゲインとなる家賃収入は、経済情勢に変化があってもすぐに影響を受けるわけではありません。言い方を変えれば、インカムゲインは比較的安定性があるため、継続的な収益を期待できるのです。
メリット②時間をとられない
またインカムゲインでは価格変動をチェックする必要がないため、手間がかかりません。不動産投資の場合には物件の維持管理についても管理会社に委託することがほとんどですので、本業のある人が副業として行いインカムゲインである家賃収入を得るというケースも少なくありません。
デメリット①短期的・高額なリターンをあまり期待できない
しかし、資産を保有していることで得られるインカムゲインの利回りは、それほど大きくはありません。たとえば賃貸経営での利回りは全国平均でも約4~5%となっています。
ここから物件購入時に組んだローンの返済もしていきますので、差し引いた分の収入はさほど高額にはならないと言えるでしょう。
デメリット②投資先の業績によっては利益がなくなる場合がある
たとえば株式投資では投資先の企業が業績不振となった場合、投資家へのインカムゲインである配当金の利率が下がることがほとんどです。また投資先の企業が倒産して上場廃止になった場合、株価が10円代にまで値下がりしてしまう可能性もあります。
メリット・デメリットを通して、インカムゲインをおすすめしたい人は以下のとおりです。
インカムゲインを得られる投資方法がおすすめできる人 |
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キャピタルゲインのメリット・デメリット
キャピタルゲインには以下のようなメリットやデメリットがあります。
メリット①ハイリターンが期待できる
短期間で大きなキャピタルゲインを得ることができる投資方法としては、株式投資、暗号資産などが挙げられます。特に株式投資では、株価が1年間で倍に跳ね上がるケースも良く耳にします。
メリット②節税効果がある
株式投資で売却損となった場合には、上場株式等の配当所得額に限り損益通算をすることが可能です。確定申告で損益通算をすれば、所得税の課税対象金額を減らせますので、納税が少なくなる効果があります。
ただし、損益通算をする上場株式等の配当所得については、「申告分離課税」を選択しておく必要がありますので注意しましょう。
デメリット①元本割れするリスクがある
株価や暗号資産の値は、ちょっとした経済情勢の変化によって大きく暴落する場合もあります。購入価格よりも株価が大きく下がってしまった場合には元本割れしますので、かなりリスキーと言えます。
デメリット②常に動向をチェックする必要がある
値動きの変動によって得るのがキャピタルゲインですので、市場の動向をチェックしておく必要があります。そのため、デイトレードが行われる株式投資や暗号資産では特に注視しておくことが求められます。
このようなメリット・デメリットを前提として、キャピタルゲインをおすすめしたい人は以下のとおりです。
キャピタルゲインを得られる投資方法がおすすめできる人 |
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インカムゲインとキャピタルゲインはどっちを狙えばいい?
インカムゲインとキャピタルゲインには異なる特徴があり、投資の種類によってもさまざまな点で違いがあることをお伝えしました。どっちの利益を狙うべきなのかは、投資家の性向や投資方法によって異なります。それでは、以下の3つのパターンに分けて利益を狙う方法を考えてみましょう。
インカムゲイン・キャピタルゲインを片方だけ狙う場合
安定的に利益を得たい場合には、家賃収入や利息、配当によるインカムゲインをメインとした長期的な投資を行いましょう。リターン率は低いですが、多忙な人ほどインカムゲインを得られる投資方法が向いています。
短期間で高い収益性を希望する場合には、株式や暗号資産などの売買で得られるキャピタルゲインを狙うのがベターです。しかし元本割れとなるリスクが高いので、知識や戦略、タイミングなどが重要になります。
インカムゲイン・キャピタルゲインを両方狙う場合
株式投資や不動産投資であれば、インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙うことができるでしょう。株式の場合は長期の保有で配当金としてのインカムゲインを獲得し、値上がりしたタイミングで売却することでキャピタルゲインも狙えます。
また不動産投資においては毎月の家賃収入でインカムゲインを安定的に得ることができ、お金が必要になった際には収益物件を売却すればキャピタルゲインを得られる可能性もあります。
インカムゲイン・キャピタルゲインを一定の割合ずつ狙う場合
両方の利益を一定の割合で得られるのは、数多くある投資方法の中でも不動産投資が群を抜いています。株式投資のように短期で大きな利益を期待できるわけではありませんが、長期にわたって運用でき、両方の利益を狙えます。
また、不動産投資は安定的に手間をかけずに投資を続けていけるのもメリットです。
まとめ
インカムゲインとキャピタルゲインには異なる特徴がありますので、獲得するための方法も異なります。両方を獲得するには、リスク対策と収益率を含めて考え、バランス良く投資することが重要です。
両方の利益を一定の割合ずつ狙える不動産投資でも、高い家賃設定が期待できる物件だけでなく、出口戦略として売却する際に売却損とならない物件かどうかも見極めるようにしましょう。