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不動産投資は新築より中古のほうが良い?それぞれのメリット・デメリットを徹底比較
不動産投資は新築より中古の方が良い?それぞれのメリット・デメリットを徹底比較
「新築物件よりも中古物件の方がおすすめ」という言葉は、不動産投資でよく聞かれるフレーズです。実際、不動産投資の物件選びで新築と中古のどちらにすべきか迷う人も多いでしょう。
本記事では不動産投資における新築物件と中古物件について、それぞれ投資するメリットとデメリットを解説しますので、どちらが自分に合っているかの判断に役立ててください。また、これから不動産投資を始めようと考えている人へ、優良物件を見つけるポイントもご紹介します。
不動産投資では新築より中古の方が良い?
不動産投資で収益物件による家賃収入(インカムゲイン)を目的とする場合は、長期運用が基本です。そのため、物件選びの際には築年数も大きく関わってきます。
新築物件と中古物件におけるメリットやデメリットを把握しておくことは非常に重要です。知識を持って総合的に判断して、不動産投資の失敗リスクを回避しましょう。
新築物件に投資するメリット・デメリット
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(国土交通省)」によると、新築物件は「未入居かつ建築完了から1年以内の物件」です。
メリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット① 家賃を高く設定しやすい
誰も入居したことがない新築物件は、やはり人気が高いです。集客力が高い物件は、賃貸家賃も高めに設定しやすくなります。特に、1年間限定の「新築プレミアム」と呼ばれる分が家賃に上乗せできるため、家賃設定も強気に出やすいのです。
メリット② すぐには修繕費がかからない
新築物件の外装・内装・設備などは新品です。必要に応じてメンテナンスした方が良いですが、修繕に関しては10年ほど必要ないことがほとんどでしょう。
メリット③ 瑕疵担保責任の期間が長い
瑕疵担保責任(契約不適合責任)とは、「売買物件に瑕疵(傷や破損等)が見つかった場合に売主が損害賠償や修繕費を負担する責任」です。売主が宅建業者の場合、新築住宅における瑕疵担保責任の期間は住宅品質確保法にて「物件の引渡から10年」に定められています。中古住宅では宅地建物取引業法にて「物件の引渡から2年」と定められていますので、新築物件の方が安心度は高いといえるでしょう。
デメリット① 物件価格が高い
中古住宅に比べて、新築物件の物件価格は高いです。そのため資産価値も高いですが、融資を受けて購入した場合には毎月の返済額も大きくなります。
デメリット② 資産価値の下落が早く、大きい
以下の表は、首都圏におけるマンションの成約時の平均的な平米単価です。新築時に対して築年数の経過で平米単価が下がっていきますが、特に新築マンションは5年目までの下落率が大きいことが分かります。
【首都圏におけるマンションの成約時の平均平米単価(築年数別)】
築年数 |
平米単価 |
変化の割合 |
---|---|---|
0~5年 |
94.63万円 |
100.0% |
6~10年 |
82.83万円 |
87.5% |
11~15年 |
69.41万円 |
73.3% |
16~20年 |
64.35万円 |
68.0% |
21~25年 |
54.10万円 |
57.2% |
26~30年 |
37.15万円 |
39.3% |
30年超 |
35.61万円 |
37.6% |
参照:「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)」|公益財団法人東日本不動産流通機構レインズ
デメリット③ 利回りが低くなる可能性が高い
新築プレミアム分の上乗せが有効な期間は、たった1年間です。この期間を過ぎると、家賃額を相場にして設定し直す可能性が高くなります。
そうなると月々の家賃収入は減りますので、ローン返済の計画も練り直す必要が出てくるでしょう。物件の購入価格・家賃収入・維持経費を総合すると、新築で購入した1年目経過後は利回りが低くなる可能性が高いのです。
デメリット④ 長期的な収支シミュレーションがしにくい
家賃収入(インカムゲイン)を主とする不動産投資では、失敗しないために長期的な収支シミュレーションが重要です。しかし、新築物件はそれまで入居者がいないため、シミュレーションにおける空室率の算出は想像の域を出ません。
新築で最初の頃は空室リスクが低いとはいえ、新築プレミアム期間が終わった後には入居率がどのような状況になるのか判断が難しいです。そのため、長期的なシミュレーションは難しいといえるでしょう。
中古物件に投資するメリット・デメリット
建築から1年以上経過すると中古住宅と見なされます。
メリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット① 利回りが高くなりやすい
投資物件の利回りの計算式はこちらです。
- ・表面利回り=年間家賃収入÷物件価格×100
- ・実質利回り=(年間家賃収入(空室率を含む)―物件維持費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100
立地条件が同じ場合、中古物件は新築物件よりも物件価格が安いため、利回りが高くなります。
メリット② 物件価格が安い
新築に比べると中古物件は価格が安いので、自己資金に余裕ができたり、運用後しばらくして余剰金が出てきたりします。資金に余裕ができた際には投資物件を増やすことが可能になり、複数の投資でリスクの分散ができるようになります。
メリット③ これまでの管理状態を把握できる
中古物件を購入した場合は、物件のそれまでの管理状態がデータで残されています。これまでの入居率や設備の修繕記録、修繕費の積立計画などの状況が把握できますので、今後の空室リスクへの対策や大規模修繕計画などに大いに役立ちます。
デメリット① 表面利回りと実質利回りが乖離しやすい
物件の広告情報で多く見られるのは「表面利回り」です。「表面利回り」はあくまでも予想家賃収入と物件価格のみで計算します。一方「実質利回り」では、物件の維持費や空室率、物件購入時の諸経費も含めて、現実的な利回りが算出できます。つまり、実質利回りは表面利回りよりも低くなるのです。
中古物件では急な修繕が必要になるなど、経費が膨らむ可能性がありますので、広告上の表面利回りを鵜呑みにしないようにしてください。
デメリット② 修繕積立金や管理費が高くなりやすい
築年数が古い物件は、メンテナンスや修繕の機会が多くなります。その分、費用もかかり、空室を出さないために宅配ボックスなどの新設備を導入する必要も出てくるでしょう。
注意したいのは、「物件の購入後にすぐ大規模修繕がやってくるかどうか」という点です。マンションの場合は10〜15年に一度、外壁の塗り直しやサッシの入れ替えといった大規模修繕を行います。引き継ぐ修繕積立金はあるはずですが、大規模修繕時には一時金が必要になる可能性もあります。
これから不動産投資を始める人におすすめの物件
不動産投資としての物件選びでは、新築と中古はそれぞれ異なる特徴があります。これらを踏まえて、おすすめの物件をご紹介します。
築5年以内の築浅物件
築年数で言えば、新築と中古のちょうど間くらいの物件を狙うのが良いでしょう。築5年以内の築浅(ちくあさ、完成して数年しか経っていない建物の総称)物件であれば設備も古すぎることはありませんので、急な修繕費が必要になる可能性は低く、物件価格も新築からぐっと安くなります。
リノベーション物件
リノベーション物件とは、築古(ちくふる、一般的に築30年が経過した建物の総称)でありきたりな間取りを変更し、オリジナルな魅力を持たせた物件です。築古でもリノベーションされていれば、高い集客力を期待できます。特に築古の中古マンションでは、柱位置の関係から同じ間取りが並んでいることが多いため、入居を希望する人の目をひきます。
立地の良い物件
5年以内の築浅物件やリノベーション物件であっても、立地が良くなければ長期的に安定した入居率は望みにくいでしょう。出口戦略として売却することを考えると、立地の良い物件は短期間で売れる可能性が高いです。
ワンルームマンション
「ワンルームマンション」は、不動産投資の初心者でも始めやすい物件だと言われています。それは、1棟マンションやアパート、土地付き一戸建て住宅といった高額な物件よりも価格が安く、ローンも組みやすいからです。売却する際にも、価格的に売りやすいのが特徴です。
まとめ
投資物件として新築と中古のどちらが良いのかは、一長一短だといえます。築年数だけに着目せず、まずは立地の良さを重要視したマンション投資をおすすめします。その上で築年数が古くても、リノベーション物件であれば申し分ありません。新築よりも価格がぐっと下がり、できるだけ経費をかけることなく長い間運用できる築5年以内の築浅物件もおすすめです。