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投資用マンションの売却に適切なタイミングは?流れや注意点もくわしく解説
投資用マンションの売却に適切なタイミングは?流れや注意点もくわしく解説
不動産投資家の中には、出口戦略としてマンションをいつ売却するかを視野に入れている人も多いでしょう。なぜなら、投資用マンションは築年数が古くなるにつれて売却が難しくなっていくと言われているからです。
ベストなタイミングで投資用マンションを売却するために、本記事では以下の内容を解説していきます。
- ・投資用マンションの売却に適切なタイミング8つ
- ・投資用マンションを売却する流れ8つ
- ・投資用マンションを売却する際の注意点4つ
投資用マンションは売却の判断も重要!
投資用の物件を売却する際には、購入時にかかった費用よりも高い価格で売るのが理想です。しかし現実には、築年数の経過により物件価格は年々下がっていきます。そこで売却のタイミングを間違えてしまうと、売却損を作ってしまいかねません。
不動産投資はしっかりとした資金計画と長期的な運用で、失敗につながるリスクを少しでも減らせる投資方法です。資金計画を立てる際には、売却のタイミングについても考えておくことをおすすめします。
投資用マンションの売却に適切なタイミング
投資用物件を売却するのに適切なタイミングは、以下の8つです。
キャッシュフローの改善が見込めないとき
投資用マンションが空室ではなくても、築年数の経過による家賃相場の下落や管理費等の値上がりによって、毎月の収支が赤字になることもあります。この状態が続いて、今後もキャッシュフローの改善が見込めない場合には、物件の売却を検討するのも一つの手です。
物件が空室のとき
購入希望者としては、できるだけ物件の現物を内覧したいはずです。物件が空室であれば、買主はじっくりと内覧でき、リフォームを希望する場合も具体的な計画を立てられます。また、空室対策として家賃を下げるよりも、できるだけ築浅で早めに売却した方が良いケースもあります。
物件が満室のとき
物件が満室のアパートやマンションは、収益性の高さから高値で売却できる可能性が高いです。入居者がいる物件でも、内覧せずに書類上で売買契約等を完了し、「オーナーチェンジ」の件を入居者に伝えれば売却を成立させられます。
金利が安いとき
超低金利の時代が続いている日本では、低金利のうちにお得に不動産を購入しておこうと考える投資家もいるでしょう。また、終息の見えないコロナ禍では、低金利の状況がしばらく続くと思われます。マンションを売却するなら、買い手が付く可能性が高い低金利のうちに実行するのが良いでしょう。
所有期間が5年以上になったとき
土地や建物を売却した際にプラスとなり「譲渡所得」が発生した場合、所得税・住民税がかかります。この場合、所得税の税率は不動産のそれまでの所有期間によって、以下の2種類のどちらかに決まります。
所有期間が5年を超えてから売却する方が支払う税金を抑えられますので、売却益が出そうな好立地物件の場合は5年超での売却がおすすめです。
所有期間 |
所得の呼称 |
所得税の税率 |
住民税の税率 |
---|---|---|---|
5年以下 |
短期譲渡所得 |
30% |
9% |
5年超 |
長期譲渡所得 |
15% |
5% |
築年数が20年になる前
マンションなどの不動産物件は、築20年以内であれば担保評価もある程度は維持されますので、長期のローンを組める可能性が高いです。一方、築年数が20年超となると、組めるローン期間は20年前後に限定されてくるため、毎月の返済額も大きくなってしまいます。
大規模修繕が行われる前
マンションは、10~20年ごとに建物全体の大規模修繕を行います。そのために各戸の所有者が毎月支払っているのが、修繕積立金です。しかし10~20年経過する間には、工事費用の相場が値上がりして、また積み立ててきた修繕積立金では足りなくなる事態となるケースが多いのが現状です。
そこで追加集金に反対する物件所有者が出てきた場合には、大規模修繕が実行できないケースも出てきます。大規模修繕を行えないとマンションの資産価値は下がってしまいますので、その可能性を考えて大規模修繕前に売却をする人も多いです。
減価償却が終了する前
「減価償却」とは、「物件建物や設備など10万円以上の固定資産を、必要経費として法定耐用年数により各年分で配分して計上できる」という確定申告上のシステムです。たとえば投資用マンションを中古で購入した場合、「取得価額×定額法の償却率(※)=減価償却費」を、残存の法定耐用年数の期間内のみ経費として計上できます。この期間が終了すると税金が上がりますので、減価償却が終了する前の物件の売却をおすすめします。
※償却率⋯⋯取得時期により、旧定額法または定額法・定率法のいずれかになる
投資用マンションを売却する流れ
マンションを売却する場合、絶好のタイミングを逃さないために売却の流れを事前に把握しておくことが大切です。そこでマンションの売却時の一般的な流れを、8つの段階に分けてご紹介します。
①価格査定
通常のマンション売却と同じように、投資用マンションの売却でも不動産会社へ価格査定を依頼します。その際には、査定額やサービス内容を比較するために複数社へ依頼して、自分でも近隣の売却相場をチェックしておくと良いでしょう。
②不動産投資会社との媒介契約
売却査定を依頼した複数社の中から、信頼性の高い1社を選び、媒介契約を締結します。媒介契約は一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約のいずれかになりますが、それぞれ特徴が異なりますので、自分に合ったものを選ぶようにしてください。
一般媒介契約 |
専任媒介契約 |
専属専任媒介契約 |
|
---|---|---|---|
同時依頼の制限 |
なし |
不動産会社は1社に限定 |
不動産会社は1社に限定 |
自分で買主を見つける直接取引 |
可 |
可 |
不可 |
指定流通機構(レインズ) |
登録は可 |
登録義務あり |
登録義務あり |
売却成立までの期間 |
長い |
短い |
短い |
不動産会社による買取保証 |
なし |
あり |
あり |
③売却活動
媒介契約を結んだ不動産会社にお任せして、物件情報を広告に掲載するなど売却活動を始めます。
④内覧・条件交渉
購入希望者に、物件内覧や価格や引渡し時期などの条件交渉を行います。
⑤売買契約・手付金の受領
交渉が成立したら売買契約が締結され、手付金を受け取ります。仲介会社である不動産会社が間に入って手続きを行ってくれますので、売主は実印・身分証明書・印鑑証明書等を準備しておきましょう。
⑥決済・引渡し
代金の振込が完了した後に、物件の引渡しをします。鍵や関係書類を買主に渡し、所有権の移転登記を行えば売買契約はすべて完了です。
⑦賃貸人への通知
取引がすべて完了したら、買主と売主の連名で入居者へ「オーナーチェンジ」の旨を通知します。
⑧確定申告
売却益が出た場合は、譲渡所得として翌年の2~3月に確定申告しましょう。
投資用マンションを売却する際の注意点
投資用の不動産売却のタイミングや流れをつかんだら、以下の4つの点に注意して進めていくようにしてください。
売却には税金などの費用がかかる
不動産の売却時には以下のような費用がかかりますので、売却価格からこれら諸費用を差し引いて、売却益がどのくらいになるのか試算する点が大切です。
- ・不動産仲介手数料
- ・印紙税
- ・抵当権抹消の登録免許税、司法書士への報酬
- ・ローン一括返済時にかかる手数料(ローンがある場合)
- ・譲渡所得にかかる税金(所得税・住民税・消費税等)
複数の不動産投資会社に価格査定を依頼する
不動産投資会社によって、査定価格に大きな違いが出るケースがあります。そのため、価格査定は1社だけでなく、必ず複数社に依頼するようにしましょう。
内覧前にハウスクリーニングを済ませておく
無理なリフォームやリノベーションでお金をかけずとも、最低限としてハウスクリーニングを行っておけば内覧時に買主へ好印象を与えられます。できるだけ出費を抑え、スムーズな取引につなげる点が重要です。
適切なタイミングで売却できるよう入念に準備する
たとえばワンルームマンションの売却ですべての手続きが完了するまでの期間は、広告を出した直後に購入希望者から連絡が来た場合でも約1ヶ月、買取保証のある専任媒介契約では3~6ヶ月ほどが一般的です。ただし、買主がなかなか現れない場合には年単位になることも考えられます。
ご紹介したようなさまざまな段階を踏む時間も必要ですので、売却のベストタイミングを逃さないよう入念に準備をしておきましょう。
まとめ
不動産の売買では、大きな資金が動きます。投資用マンションを売却する際は「損をしないタイミングを選ぶ」「売却の流れ、かかる期間、諸費用の内容を把握しておく」「信頼できる不動産会社を選ぶ」ことが大切です。投資用物件を購入する前の資金計画の時点で、いつ売却するかも想定して、収支シミュレーションをしておくと成功する確率が上がります。