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不動産投資の出口戦略とは?3つのパターンや売却に適したタイミングを解説
不動産投資の出口戦略とは?3つのパターンや売却に適したタイミングを解説
不動産投資で特に重視すべきなのが、「出口戦略」です。出口戦略は不動産投資における最終的なフェーズであり、この結果が成功か失敗かを左右すると言っても過言ではありません。そこで本記事では、出口戦略のパターンとタイミングを解説しながら、出口戦略から逆算した不動産投資のポイントをお伝えします。
不動産投資の出口戦略とは?
出口戦略とは、物件運用後の処理に関する戦略です。代表的な例には「売却」が挙げられ、この場合売却額によってその物件で得た最終的な損益が決まります。出口戦略という言葉はもともと軍事用語として使われていましたが、最近では不動産投資や経営における専門用語としても使われるようになりました。
不動産投資の出口戦略3つのパターン
不動産投資の出口戦略は、主に以下3つのパターンに分かれます。
<不動産投資の出口戦略3つのパターン>
- ・そのまま売却する
- ・更地にして売却する
- ・自己居住用として買い取る
それぞれ詳しく内容を解説します。
そのまま売却する
代表的なパターンが、収益物件としてそのまま売却するパターンです。他の投資家にとって魅力的に見える物件の場合、高値での売却が可能です。現役の収益物件として引き続き稼働させられるならば、そのままの売却をおすすめします。
更地にして売却する
建物が古くなった場合や事故物件の場合など、そのままでは売却が難しい物件の場合は更地にして売却する手段があります。ただし、入居者から退去の同意を引き出せないケースや、区分マンション投資で他のオーナーと更地にする方針を一致させられないケースなどでは、この方法を実行できません。
自己居住用として買い取る
自己居住用として買い取ることも検討すると良いでしょう。ローンを完済できている場合は、修繕積立金と管理費を支払うだけで自宅として住み続けられます。また、投資用物件としてではなく、居住用物件として売りに出す方法もおすすめです。
投資物件の売却に適したタイミングは?
投資物件の売却に最適なタイミングとして、以下の5つをご紹介します。
<投資物件の売却に適したタイミング>
- ・売却金額が購入価格を上回るとき
- ・キャッシュフローの改善が見込めないとき
- ・保有し続けることで多額の費用が見込まれるとき
- ・減価償却が終了するとき
- ・長期譲渡に切り替わるとき
このタイミングがなぜ適しているのか、詳しく解説しましょう。
売却金額が購入価格を上回るとき
「安く買って高く売る」のが投資の原則なので、利益が出るタイミングでの売却がおすすめです。しかし、売却益が出る場合、税金などで多額の出費が発生するケースがあります。税金等を差し引いた後にどれくらいの利益が残るのかを計算し、売却すべきか慎重に検討しましょう。
キャッシュフローの改善が見込めないとき
赤字運営が続き、今後もキャッシュフローの改善が見込めない場合も売却を検討すべきです。いわゆる「損切り(ロスカット)」を実行することになります。売却時には赤字になったとしても、損失が大きくなる前に投資を終えるのも有効な出口戦略の一つです。
保有し続けることで多額の費用が見込まれるとき
目安として築10年が過ぎた物件は内装や設備が劣化して、修繕等に多額の費用が発生します。設備の故障や劣化が目立つ前に売却すれば支出を抑えられ、利益を出せる確率が上がるのです。
減価償却が終了するとき
不動産の取得費を経費として計上できる「減価償却」が終了するときも、売却に適したタイミングと言えます。なぜなら減価償却が終了すると、所得税・住民税が上がって利回りが下がるからです。なお、減価償却期間は工法によって異なり、木造は22年、鉄骨鉄筋コンクリート・鉄筋コンクリート造は47年です。
長期譲渡に切り替わるとき
売買益が出た場合に支払う「譲渡所得税」の税額は取得日からの期間によって変わり、取得から6年目以降の「長期譲渡」に切り替わったタイミングの方が安くなります。
【譲渡所得税の税額】
種類 |
条件 |
税率 |
---|---|---|
短期譲渡 |
取得から5年以内 |
約39% |
長期譲渡 |
取得から5年以上 |
約20% |
長期譲渡に切り替わるタイミングならば、税金を約半分に抑えられます。
出口戦略を考えて不動産投資をする場合のポイント
出口戦略から逆算して不動産投資をする場合、以下のポイントを意識しましょう。
<出口戦略を考えて不動産投資をする場合のポイント>
- ・収益性の高い物件に投資する
- ・資産価値が下がりにくい物件に投資する
- ・売却にかかる期間・費用を把握しておく
それぞれ分かりやすく解説します。
収益性の高い物件に投資する
最初に注目すべきなのは、収益性の高さです。物件の需要が高く、満室を見込める物件の場合、他の投資家からも魅力的に見えることは間違いありません。投資用物件として成功した実績を残せば、売却時に利益を出せる可能性が高まります。
資産価値が下がりにくい物件に投資する
資産価値が下がりにくい物件も投資家にとって魅力的です。売却益が出なかったとしても、売却時の損失が少なければトータルの収益を上げやすくなります。特に以下の特徴を持つ物件は、資産価値が下がりにくい物件としておすすめです。
<資産価値が下がりにくい物件の特徴>
- ・都市部にあり注目されやすい物件
- ・多くの投資家が購入しやすい小規模な物件
- ・駅近など好条件の物件
上記の条件を満たせる物件としては、都市部にあるワンルームマンションをおすすめします。ワンルームマンションはサラリーマンなど単身者からの需要が高く、空室リスクが少ない物件です。都市部にあっても不動産価格が安い傾向にあり、好きなタイミングで売却しやすい点もメリットと言えるでしょう。
売却にかかる期間・費用を把握しておく
不動産を売却する意思を示してから、実際に売却を完了させるまでには、目安として3~6ヶ月かかります。早期売却を目指して焦りすぎると、相場よりも低い販売価格に設定せざるを得ません。この場合損失を出してしまいやすいので、スケジュールに余裕を持って売却手続きを取ることをおすすめします。なお、売却の流れは以下のとおりです。
<不動産売却までの流れ>
- 1.査定を受けて不動産会社と契約する
- 2.物件を売り出す
- 3.必要に応じて内覧等に対応する
- 4.契約条件の交渉を行う
- 5.売買契約を締結する
- 6.ローンを完済して物件を引き渡す
また、売却時には以下のような費用がかかります。
<売却時にかかる費用の内訳>
- ・ローンの返済費用
- ・仲介手数料
- ・印紙代
- ・抵当権抹消登記費用
- ・譲渡所得税
上記すべての費用を差し引いて残った金額が最終的な売却益です。これまでに確保した家賃収入による利益等の計算に含み、トータルの利益がどれくらいになるのかを計算した上で売却のタイミングを計りましょう。
まとめ
不動産投資において、出口戦略は極めて重要です。まずはそのまま売却するのか、それとも自己居住用として活用したいのかといった基本的な方針を考え、売却する場合は適切なタイミングを見定めましょう。出口戦略を見据えて投資用物件を購入する場合は、収益性が高く、資産価値が下がりにくい物件を選ぶのがおすすめです。