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不動産投資を売却すべきタイミングとは?損せずスムーズに売却する流れも解説
不動産投資を売却すべきタイミングとは?損せずスムーズに売却する流れも解説
不動産投資で重要なのは、出口戦略である物件の売却です。ここで損失を出してしまうと、それまで黒字経営だったとしてもトータルでマイナスになってしまう可能性があります。
そこで本記事では、不動産投資で売却に向いているタイミングと、売却時の査定から確定申告までの流れなどを解説しますので、出口戦略で成功するための知識としてお役立てください。
不動産投資では売却という判断も重要
不動産投資のゴールは物件の売却です。たとえば5,000万円で購入した物件の売却額が4,000万円だった場合、少なくとも1,000万円以上の家賃収入がなければ黒字になりません。
反対に売却額が購入額を上回れば、赤字経営が続いていたとしても黒字化できる可能性があります。売却時に損をしないよう計画することを「出口戦略」と言い、出口戦略は不動産投資において大切な要素なのです。
不動産投資で売却に向いているタイミング10パターン
不動産投資で売却に向いているタイミングを10点お伝えします。
<不動産投資で売却に向いているタイミング10パターン>
- ①大規模修繕が行われる前
- ②築年数が20年になる前
- ③物件が空室になるとき
- ④入居者がいるとき
- ⑤路線価が上昇しているとき
- ⑥キャッシュフローが悪化しているとき
- ⑦減価償却費がローン返済額を上回るとき(デッドクロス)
- ⑧減価償却が終了するとき
- ⑨金利が低いとき
- ⑩不動産の繁忙期(2~3月)
なぜこれらのタイミングでの売却がおすすめなのか、詳しく解説しましょう。
①大規模修繕が行われる前
大規模修繕が近付くと修繕積立金が上昇するケースが多く、場合によっては一時徴収金を請求されることもあります。そのため、維持コストが上がる前に物件を手放せば損をする確率が下がるのです。
②築年数が20年になる前
水回りや内装が傷み始めるのは、新築から20年前後が経過した頃からと言われています。設備が故障した場合は、オーナーが自腹で修繕しなければなりません。そのような事情から築20年を過ぎた物件の市場価値は下がるため、値崩れを起こす前に売却するのも良いでしょう。
③物件が空室になるとき
マイホームとして物件の購入を検討している人は、入居者がいない物件を探すのが普通です。オーナーチェンジを行っても正当な理由がなければ入居者を退去させられないため、入居者がいない物件の方が売却しやすくなる可能性があります。
④入居者がいるとき
反対に入居者がいるタイミングも売り時です。入居者が付いている物件なら確実に家賃収入を得られるため、投資用物件を探している人からすれば入居者がいる方が手を出しやすいです。
⑤路線価が上昇しているとき
路線価は土地の公的価格のひとつで、不動産の売却価格の大きな基準となっています。路線価が高い=需要が高い土地と考えられるため、路線価が上昇しているタイミングは投資家からの注目が集まりやすく、高値での売却に期待できるのです。
⑥キャッシュフローが悪化しているとき
管理費や修繕積立金が上昇したり、空室が続いて赤字になったりしたときも売却を検討すべきタイミングです。黒字に転換できるチャンスがない場合、損切りすることも出口戦略のひとつと言えます。
⑦減価償却費をローン返済額が上回るとき(デッドクロス)
減価償却費をローン返済額が上回ることをデッドクロスと言います。ローン返済額は経費として認められないので、デッドクロスに陥ると所得税額が増えて利益が減少してしまいます。そのため、これを目安に売却することも検討すべきです。
⑧減価償却が終了するとき
不動産は築年数の経過とともに劣化しますが、一定期間は「減価償却」によって購入金額を経費として計上できます。これが終了すると所得税・住民税が実質的に増えるため、そのタイミングで売却を検討すると良いでしょう。
ちなみに減価償却期間は物件の種類で異なり、鉄筋コンクリート造の場合は47年、木造の場合は22年です。
⑨金利が低いとき
現在は低金利時代ですが、将来的には金利が上昇する可能性もあります。金利が高くなると不動産の人気は下がるため、低金利状態のうちに売却するのも出口戦略のひとつと言えます。
⑩不動産の繁忙期(2~3月)
2~3月の引越しシーズンは、多くの物件が注目を浴びるタイミングです。強気の価格設定にしても売却できる可能性が高いため、売却にふさわしい時期と言えるでしょう。
投資用物件を売却する流れ
次に、投資用物件を売却する流れをご紹介します。
<投資用物件を売却する流れ>
- ①複数の不動産会社に相談のうえ、査定してもらう
- ②不動産会社と媒介契約を結び、募集を出す
- ③購入希望者への内覧対応をする
- ④売買契約を結ぶ
- ⑤物件を引き渡す
- ⑥必要に応じて残債を支払う
- ⑦確定申告をする
上記の全7ステップをそれぞれ解説します。
①複数の不動産会社に相談のうえ、査定してもらう
まずは不動産会社に物件価格を査定してもらいます。このとき、ひとつだけではなく複数の不動産会社で相見積もりを行いましょう。査定額は不動産会社によって大きく異なるため、相見積もりをしておかないとうっかり損してしまう可能性があります。
②不動産会社と媒介契約を結び、募集を出す
どの不動産会社に売ってもらうか決まったならば、媒介契約を結んで購入希望者を募集します。不動産会社を決めるポイントとしては査定額だけでなく、担当者が丁寧かどうか、売却の実績が豊富かどうかといった点にも注目しましょう。
③購入希望者への内覧対応をする
購入希望者が現れた場合は、内覧対応を行います。なお、満室の場合は「オーナーチェンジ物件」となり、内覧対応を行う必要はありません。
④売買契約を結ぶ
購入希望者と合意に至ったならば、売買契約を結びます。基本的に契約は不動産会社に任せれば大丈夫で、オーナーは提示された書類に署名・捺印する程度です。ただし、書類の内容はきちんと確認しましょう。
⑤物件を引き渡す
購入者から売買代金を受け取ったタイミングで、書類や物件の鍵などを渡して物件を引き渡します。その後、法務局で所有権の移転登記手続きを行い、受理された時点で売却が正式に完了します。
⑥必要に応じて残債を支払う
ローン残債がある場合は、金融機関に一括返済を行います。ローンの返済が終了するまでは金融機関からの抵当権が外れず、売却できないため注意しましょう。
⑦確定申告をする
売却により利益が生じた場合は、確定申告が必要です。損失が出てしまった場合も、確定申告で損失を翌年に繰り越せる可能性があるため、税理士に相談して状況を確認しましょう。
投資用物件の売却にかかる費用
投資用物件の売却にかかる費用をリストアップし、簡単に説明します。
<投資用物件の売却にかかる費用>
- ・仲介手数料:売買額の3~5%+0~6万円+消費税
- ・登記費用:5,000~40,000円
- ・ローン残債:ケースによって異なる
- ・印鑑証明書や住民票の取得費:1通につき数百円
- ・印紙税:売却額により異なる
- ・譲渡所得税:売買益に対して短期の場合39.63%、長期の場合20.315%
売買額と利益の程度によって、売却にかかる費用は大きく異なります。そのため、細かくシミュレーションしたうえで出口戦略を立てることが重要です。
まとめ
不動産投資では売却する決断が重要であり、実行すべきタイミングはさまざまです。単純に利益が出るときだけでなく、損失を最小限に抑えることなども検討して出口戦略を立てましょう。投資用物件を売却する流れや売却にかかる費用も確認しながら、売却に適したタイミングを見定めてください。