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アパート経営はおすすめ?メリット・デメリット、失敗しないためのポイントを解説
これから土地を購入して老後の資金形成のために土地活用をしたいと考えていたり、相続で土地を所有することになったりした場合、アパート経営を視野に入れている方も多いと思います。しかし、アパート経営はマンション経営とどのように異なるのでしょうか?
そこで本記事ではアパート経営について、基礎知識やマンション経営との違い、メリットやデメリット、失敗しないためのポイントなどを解説していきます。
アパート経営とは?
まずはアパート経営とはどういう投資方法なのかをお伝えします。
アパート経営で収益を得る仕組み
不動産投資のひとつであるアパート経営は、1棟アパートを建設もしくは購入し、家賃収入(インカムゲイン)を得ていく収益方法です。また資金が必要になるなどの理由でアパートを売れば、売却益(キャピタルゲイン)を得ることも可能です。
アパート経営にかかる費用
アパート経営でかかる費用には、以下のようなものがあります。
アパート経営にかかる必要経費 |
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管理委託料、火災保険料、固定資産税、都市計画税、個人事業税(または法人税)、ローン返済額、修繕費用、広告費、税理士への報酬、共用部分の光熱費など |
アパート経営で得た家賃収入からこれらの必要経費を差し引いた分が、実際に手元に残るお金であり、「不動産所得」と呼ばれます。不動産所得に対して、所得税や住民税、復興特別所得税などが課税されます。
アパート経営はマンション経営よりもおすすめ?
アパート経営と似た投資方法にマンション経営がありますが、最大の違いは建築費です。マンションの多くは鉄筋コンクリート造で4階建て以上ですが、アパートは2~3階建てで木造または鉄骨造です。
そのためマンション1棟に比べるとアパート1棟の方が建築費は安く済みますので、マンション1棟投資よりも始めやすい投資方法であると言えるでしょう。
アパート経営を始めるメリット
アパート1棟で賃貸経営を行えば、以下のようなメリットが得られます。
長期間の安定収入が見込める
アパート経営では1棟に複数の入居者がいるため、長期間にわたり安定した家賃収入が見込めます。物件管理は自分で行う場合もありますが、管理会社に委託するケースが多いです。そのため本業のあるサラリーマンや自営業の方でも、アパート経営ならば無理なく続けていくことが可能です。
投資物件が資産となる
アパートローンの完済後には、家賃収入を得られる収益物件が資産として残ります。家賃収入は老後の生活資金などに活用できます。
またアパートローンによる融資を利用してアパート1棟の建築費に充てる場合、団体信用生命保険(団信)への加入が融資の条件となっているケースが多いです。アパートローンの返済中に家主が死亡または高度障害状態となった場合には、団信によりローンが完済され、家族には負債のないアパート1棟を資産として遺すことができます。
節税効果が期待できる
アパート経営では固定資産税などを必要経費として計上できますので、所得税などの課税対象となる金額を減らすことが可能です。また土地を所有している場合、更地にしておくよりも住宅を建てておけば、「住宅用地の特例措置」が適用できますので、固定資産税や都市計画税を抑えられます。
さらに資産を現金ではなく不動産で所有していることや、第三者に貸していることから、相続税の評価額が下がりますので、相続税額を減らす効果もあります。
レバレッジ効果が高い
所有地にアパートを建設する場合、土地を担保にして金融機関でアパートローンを組みやすくなります。つまり、少ない自己資金で大きな収益を得られますので、高いレバレッジ効果が得られます。
リスク分散ができる
マンション経営は1部屋から始めることができますが、空室となると収入がゼロになってしまいます。その点、アパート経営では基本的にアパート1棟を賃貸運営していきますので、退去者が出た場合でも他の部屋からの家賃収入が得られます。このように、アパート経営はリスク分散ができますので、収入がゼロになる可能性はかなり低いです。
アパート経営のデメリット
アパート経営のデメリットとして挙げられるのは、以下の4つです。
空室・家賃滞納で収入が減少するリスクがある
アパート1棟の賃貸経営でも、空室や家賃滞納が発生する可能性はあります。部屋が複数あるため空室が出たとしても収入はゼロにはなりませんが、金額は減ってしまいます。
アパートローンを組んでいる場合には家賃収入からローン返済を毎月行っていきますので、空室などにより収入が減少した場合には、自己資金をローン返済に回さなくてはならなくなります。赤字経営が続くと資金繰りが悪化し、アパート経営の破綻につながる可能性もありますので要注意です。
そうならないためには、入居者審査をしっかり行うようにしましょう。
自然災害のリスクがある
アパート経営では、自然災害により建物の損害や倒壊、入居者への被害などが発生し、多額の費用が必要となるリスクがあります。地震や津波などの自然災害は、防ぎようがありません。
対策としてできることには、物件購入前にハザードマップなどを利用して、自然災害に遭いにくいエリアを探して物件を選ぶことや、物件購入後には火災保険に地震保険特約を付加することなどが挙げられます。
突発的な修繕費が発生するリスクがある
どんな建物でも経年で劣化していきますが、木造や軽量鉄骨造などのアパートは鉄筋コンクリート造のマンションよりも耐用年数が短いため、劣化が早いです。外装だけでなく、内装やエアコン、水回りの設備なども劣化しますので、修繕が突然必要となる可能性があります。
建物の老朽化を放置しておくと、次の入居者がなかなか見つからず、家賃収入にも影響します。突発的な修繕費の発生に備えて自己資金を準備しておき、空室率を下げないためにリフォームを行っておきましょう。
入居者トラブルが起きた際に対処する必要がある
アパートなどの集合住宅では、騒音や共有部分の使い方など、入居者間でトラブルが発生する場合があります。このような入居者トラブルが起きた際には、家主が迅速に対処することが大切です。
アパート経営では物件管理を自分で行うケースもありますが、管理会社に委託することも可能です。入居者トラブルについても管理会社が即座に対応してくれますので、管理会社に委託している方が多いです。
アパート経営で失敗しないためのポイント
アパート経営のデメリットを回避し、メリットを最大限に受けるためには、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
ターゲット層を明確にする
空室発生による収入減を避けるためには、そのエリアでの賃貸需要に合ったアパートを建設することが大切です。たとえば小中学校が近い場合にはファミリータイプの間取りのアパート、駅近や大学、専門学校などがあればワンルームタイプの間取りのアパートに高いニーズがありますので、このようにターゲット層を明確にするようにしておきましょう。
立地を重視して物件選びをする
アパート経営だけでなく、どんな物件でも賃貸経営では立地条件が空室率や家賃相場に大きく影響します。立地が良ければ、建物が多少古くても空室率が大きく下がることはありません。また建物は老朽化してもリフォームや建て直しが可能ですので、立地にはこだわっておきましょう。
実質利回りに注目する
物件情報には利回りが掲載されていますが、そのほとんどは「表面利回り」です。表面利回りは物件価格と家賃相場のみで計算されるため、現実的な利回りとは言えません。そのため物件選びでは、物件価格に家賃相場、物件取得費や必要経費を含めて計算する「実質利回り」を確認するようにしましょう。
収支シミュレーションを立てる
アパート経営では、アパートの建設から運営維持費まで多くの資金が動くことになります。物件価格が高いため、初期費用や購入時の諸費用なども大きくなるのです。また賃貸運営でかかる経費も実際にどのくらいになるのか知っておくことが大切です。予想できる家賃収入に対し、最大限の出費を計算して収支シミュレーションを行っておきましょう。
万が一空室が発生した場合でも、ローン返済に困らない経営プランを立てておくことをおすすめします。
まとめ
老後の不労所得として、アパート経営を行っている方も少なくありません。入居者トラブルが発生する可能性があるなどのデメリットも存在しますが、管理会社に管理業務を任せておけば、老後でも無理なく続けていける投資方法だと言えます。土地活用を考えている方は、アパート経営も候補に入れてみてはいかがでしょうか。