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不動産投資で赤字になったらどうする?損益通算による節税方法も解説
不動産投資で赤字になったらどうする?損益通算による節税方法も解説
「不動産投資を始めたいけれど赤字になるのが怖い」「現在不動産投資をしていて赤字になってしまった」などと悩んでいるオーナーの方もいるかもしれません。不動産投資では、そんな時に「損益通算」という方法で節税できます。損益通算についてしっかりと理解しておけば、不動産投資における赤字への対処法やその効果が分かります。
本記事では、不動産投資での損益通算による節税効果について解説します。
不動産投資で赤字になる原因
まずは、アパート経営などで得られる不動産所得の収支の計算方法を知っておきましょう。
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※不動産収入⋯⋯家賃収入、礼金、共益費、更新料等
必要経費⋯⋯管理費、損害保険料、固定資産税などの税金、修繕費、ローン金利(建物部分のみ)、減価償却費等
不動産所得が赤字になってしまう原因としては、主に以下の4つが挙げられます。
初年度で多くの費用がかかった
不動産投資を始める際には、物件の購入費用、行政書士への報酬、不動産投資ローンを組む際の諸経費、火災保険の保険料などがかかります。好立地のため高額な物件を購入した場合などでは、とくに初年度に多くの費用がかかってしまい、総家賃収入よりも必要経費の方が大きくなってしまう結果になるケースが多いです。
ローン返済で持ち出しが発生した
不動産投資家のほとんどが不動産投資ローンを利用しますので、毎月の家賃収入の中からローン返済を行っていく資金計画を立てます。そのため、入居者に家賃を滞納されたり、ローンをボーナス併用払いにしたのにボーナスがカットされたりした場合には、自己資産からローン返済をしなければなりません。
高額な修繕費がかかった
とくに築年数の古い中古物件で注意したいのが、高額な修繕費が発生する可能性もある点です。水回りの設備や排水管などが、経年劣化で突然不具合を起こして、修理や交換が必要となったり、自然災害により建物が被害を受けたりすることもあるかもしれません。突発的に高額な修繕費が発生し、総収入額を上回った場合には赤字となってしまいます。
空室が出て家賃収入が少なくなった
マンション一棟やアパート経営の場合には、空室が出るとその分の家賃収入が減ります。さらに区分マンション経営の場合には、家賃収入自体がなくなってしまいます。収益が少なくても管理費や修繕積立金は毎月支払う必要がありますので、結果的に年間で赤字となるケースもあります。
不動産投資で赤字になったら「損益通算」をしよう
ご紹介したことが原因で不動産経営が赤字になってしまった場合には、節税効果が得られる「損益通算」が使えます。その仕組みやメリット、計算方法などを詳しく解説していきます。
損益通算の仕組み・メリット
損益通算とは、「給与所得など他の所得」と「赤字になってしまったマイナスの不動産所得」をあわせることで、課税対象となる所得の総額を減らすことができる節税方法です。つまり、他の黒字所得と赤字所得を相殺するようになります。
不動産経営で必要経費として計上できるものには、管理費、損害保険料、固定資産税、修繕費、減価償却費などがあります。物件をローンで購入した場合、この中で「減価償却費」だけは、実際にその年の出費にならない費用です。
不動産投資では、「アパートやマンション=事業で用いる資産」と位置付けられます。これらの資産の価値は年々減っていくことから「減価償却資産」と呼ばれています。減価償却の対象となる資産を購入した際の金額は必要経費として計上できますが、購入した年に全額計上するのではなく、資産の使用可能な全期間(残耐用年数)にわたって分割で計上していきます 。
つまり投資用物件をローンで購入した場合には、全額返済していないにも関わらず、その購入金額を分割し経費として一定の期間は計上できるのです。
損益通算ができる所得・できない所得
所得は大きく10種類に分けられ、その中で損益通算の対象にできるのは、基本的に源泉分離課税・申告分離課税となっていない以下のような所得です。そしてこれらの所得で赤字あった場合に、損益通算が可能です。
【損益通算の対象となる所得赤字】
損益通算の対象となる所得赤字 |
不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得 |
---|---|
損益通算の対象にならない所得赤字 |
給与所得、利子所得、配当所得、退職所得、一時所得、雑所得 |
また、不動産所得や譲渡所得であっても、以下のような赤字は損益通算に組み入れられません。
【損益通算の対象とはならない赤字】
不動産所得 |
土地のローン金利 |
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譲渡所得 |
土地や建物による譲渡赤字、株式等の譲渡による赤字、別荘・ゴルフ会員権・宝飾品(30万円超)等生活に必要でない資産の譲渡による赤字など |
損益通算の計算方法
では実際に例を挙げて、損益通算の計算方法を説明しましょう。500万円の給与所得があり、年間の不動産収入が100万円、減価償却費を含めた必要経費が120万円となり不動産所得が赤字となった場合、損益通算で以下のように課税対象額を減らせます。
- ・100万円(不動産総収入)―120万円(必要経費)=-20万円(不動産所得)
- ・500万円(給与所得)―20万円(不動産所得)=480万円(課税対象となる所得金額)
不動産投資で節税するなら、赤字であることが条件
不動産経営を行っていて、他の収入との合計が20万円以上ある場合は毎年の確定申告が必要です。解説したように不動産所得が赤字と算出された場合には、他の所得と損益通算することで節税できます。もし損益通算しても赤字の場合、青色申告ではその赤字を翌3年間にわたり繰越すことも可能です。
不動産投資では赤字による節税よりも「キャッシュフロー」が重要
キャッシュフローとは、いわゆる「手取り収入」です。計算上の赤字により節税ができても、空室の発生などにより実際の家賃収入が減ってしまえば手取り収入も少なくなってしまいます。不動産投資で失敗しないためには、計算上の赤字で節税することに注視せず、空室率を下げてキャッシュフローを増やす方に重きを置いて運用していきましょう。
まとめ
不動産所得は、不動産経営で赤字が出てしまっても、他の収入と損益通算することで節税できるメリットがあります。しかし、あくまでも大切なのは「キャッシュフローを減らさないこと」です。不動産投資を始めた年は必要経費が多くかかりやすいですので、損益通算をしても赤字となった場合には、青色申告で翌年以降3年間に赤字を回すことを忘れないようにしてください。